10月の聖句
10月の聖句
ヨハネによる福音書 17章21節
「一つ」という言葉は、数詞で1である。1という数はすべての数の基であり、分割不能な数である。1から始まり1に帰るということが、聖書における唯一神信仰が語っているところでもある。「わたしは初めであり終わりである。」(イザヤ書44:6)や「わたしはアルファでありオメガである」(ヨハネの黙示録22:13など)という言葉が語っているとおりである。
イエスは「すべての人を一つにしてください」と父なる神に祈っているが、それは1という絶対的根源性と分割不能性における一体性を祈り求めていることである。すべての人が1である中に入れられるようにとの祈りであるが、この1はイエスと父との1の中に入れられることを意味している。すべての者が父なる神のうちに入れられることによって、分割されることなく、一体とされて生かされる世界を求める祈りなのである。
我々人間は個別的人間として自らを意識する。自分と他者は違うと受け入れることで、個を確立するとも言える。しかし、社会的人間としては共に支え合って生きることが必要になる。個と社会とは衝突することの多いものである。この両者を保ちながら1であることが我々人間の課題でもある。
イエス・キリストは、この相矛盾する個と集団とを一つにする父なる神に祈るのである。個の主体を失わず、集団としての1を生きること。個の多様性を認めつつ、1である社会を生きること。これが父なる神の下に入れられることで可能となるようにと祈るのである。それは、すべての者が互いを神に愛されている存在として認める世界である。神の愛に包まれて、愛されているお互いを受け入れ、共に生きるこどもたちでありますように。
チャプレン 末竹十大