チャプレン通信 5 月号
チャプレン通信 5 月号
もう、寝てるのに呼ばれたみたい。サムエルは起き上がって先生のエリのところに行きました。「いいや、呼んでないよ。戻っておやすみ」と言われて戻りましたが、また呼びかける声が聞こえます。また、先生のエリの所に行きましたが、先生ではありません。3 度目に、先生はピンときました。「それはねぇ、きっと神様が呼びかけてるんだ。今度聞こえたらこう言いなさい。『主よ、お話しください。しもべは聞いております』って。」戻ると、また声がしました。今度は言われた通りにしました。その時 から、神様のお声を聴いて人に伝える大切な仕事をしたというのが、サムエルという人のお話です。その時の、ひざまずいてお祈りしている姿が、有名な絵になって、たくさんの教会や幼稚園に飾られています。
子どもといる時に「聞いて聞いて!」「見てみて!」と言われることが良くありませんか?しっかりと、聞いてあげて、見てあげ、ほめたり、一緒に驚いたり、喜んだりするのが大切でしょうね。でも、主体的に言ってくることを喜びながらも、「言いたいことだけを一生懸命に言う」だけじゃなくて、「はい、聞きますから、話してください」という、聞く姿勢が育つのも大切ですよね。
私は、そんな風に何度も大きな声で言った頃があります。いう事を聞かない、自分勝手でちっとも座ってくれないブラジルの子たちにです。スラム街のこどもたちに、教会で妻と英語やパソコンや音楽を教えていましたが、自己主張が強く学級崩壊状態なので、「しつけ」と思い強く言っていました。でも、ある日、1 2 歳の女の子に言われました。「先生は日本式で厳しすぎる。先生も私たちのことを聞いて、ブラジル 式も分かってほしいよ」と。私は衝撃を受けました。「そうか、そうだね、悪かった。じゃ、お互いに助け合って、楽しい会にしようよ。手伝ってくれる?」といいました。それからは、その子が年下や騒がしい男の子たちみんなを座らせたり、静かにさせたり、声を上げて手伝ってくれるようになりました。先日18 歳になったと、メッセージが来て、お祝いを伝えました。
失敗もしながら、共に育つのが、子育てや教育かもしれません。さあ、謙虚に神様と、人の声も聞きましょう。