11月の聖句
11月の聖句
ルカによる福音書 6章31節
自分が「人にしてもらいたい」ことを人に要求するのが通常の人間である。相手がまずしてくれるならば、わたしもしても良いと思ってしまう。どうして自分から人にしなければならないのかと考えてしまう。しかし、イエスは人に要求するのではなく、自分自身に要求しなさいとおっしゃっている。
我々は常に人に求めてしまう。こうして欲しい、ああして欲しいと求めて、してくれないから自分もしないのだと言ってしまう。人にしてもらいたいと思うことを人にするなら、自分が損をするだけで、してもらった相手は感謝もしないだろうと考える。損をしてまで、あの人には何もしたくないと思う。
この考え方は我々人間の根幹にある考え方である。それが、人間が罪人だということである。ここから抜け出すことができない人間に向かって、イエスは「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」とおっしゃっている。この考え方は、究極的には「敵を愛しなさい」という教えとなっている。敵を愛することなどできないと考える人間に対して、神様はあなたがたが感謝もしない悪者であろうとも、情け深く、憐み深く、善いものを与えてくださるではないかとおっしゃる。
我々人間は、自分のことしか見ていない。神が何を与えてくださったかを見ることはない。神の視点から世界を見るとき、感謝と憐れみが生まれるであろうとおっしゃるイエスは、我々人間の罪を引き受けてくださった。神の憐れみとイエスの十字架によって、一人ひとりが生かされる世界が開かれた。神の憐れみの世界に生かされている我々であることを忘れてはならない。こどもたちが他者のために生きる者となるために、我々大人がまず彼らのために生きる者でありますように。
チャプレン 末竹十大